卒業研究で企業とコラボレーション
今年度の卒業研究では、北上ハイテクペーパー様から研究テーマをご提案いただいき、2つのチームが研究を行いました。
北上ハイテクペーパーは三菱製紙グループの北上工場で写真用原紙やティッシュペーパーなどの生産を行っています。
同社は本校の会員企業で、日ごろから本校の教育活動に支援していただいているほか、今年度も学生が就職内定したご縁もあり、今回の共同研究となりました。
ビジネスコースでは「労務管理システム」の制作を行いました。今年度から始まった働き方改革への対応で、残業時間や有給休暇の消化状況が確認できるシステムを作成してほしいとのことでした。これまでは交代勤務のシフト表を作成後、有給休暇や残業時間の集計など手作業で行っているところも多かったため、これを自動化できることを目標としました。
勤務形態の種類が多くあることや法定や所定労働時間をそれぞれ集計するなど、かなり複雑な処理が多くありましたが、完成にこぎつけることができました。実際にシステムを使っていただいた感想では、勤務シフト表の作成時間の削減や、時間外状況や有給休暇取得状況が視覚的に表示されることで意識的に管理が行え、職場内で相談し合う雰囲気づくりや情報共有意識の向上に役立っているとの評価をいただきました。
システムネットワークコースでは「PWAを用いた製造作業者向け安全衛生教材の開発と有効性の検証」というテーマで研究を行いました。
製造業においては年間に3万件近くの労働災害が起きており、労働災害防止のため安全対策はもちろん、作業者自身も労働災害防止のために努力をすることが重要であり、安全教育によって作業者の危険認知能力や安全意識を高める必要があるとされています。
北上ハイテクペーパーでは、労働災害の対策として安全マニュアルの導入と工場内に注意喚起の掲載を行っています。しかし、マニュアルを手にしてもこれを精読する割合は多くなく、作業の慣れによって安全がおろそかにされることは多くの企業が問題視することのようです。
このような点を踏まえ卒業研究では、スマートフォンなどから利用できる製造作業者向けウェブ安全教材を開発しました。教育を行っていくうえで、学ぶことにストレスを感じてしまってはユーザーの学習意欲の妨げになってしまうため、ユーザーが快適に楽しんで利用できるように考慮して、3択クイズなどを用いた形式で教材を作成しました。
2月26日、完成したシステムの北上ハイテクペーパー様への贈呈が行われました。自分たちが作成したシステムが企業の中で活用され、それによって少しでも社会貢献ができたことに学生たちは感慨深げでした。卒業後は今回学んだ知識や技術をそれぞれの就職企業で生かしてほしいと思います。